eラーニング学習で、受講者から寄せられたご質問の中から、他の学習者に
も有用と思われるものを一般化してホームページに公開しているものです。
Q1.塗り薬を全身塗布するときの注意点について教えて下さい。
外部性器など塗布しがたい部位での対処法を教えて下さい。
A1.刺激性の薬剤では、粘膜に付くときに粘膜が腫れ上がることがあります。
また、疥癬治療薬は普通の疥癬では教科書的には「首から下に塗る」ことに
なっていますが、寝たきりのご老人に対しては、最近では顔や頭にも塗布する
そうです。
(回答者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q2.超音波下肝生検、腹腔鏡 下肝生検前後の抗生物質の予防投与は必要でしょうか。
必要な場合内服投与にすべきか点滴投与でもかまわないか。
使う場合の適用な抗生物質の種類を教えて頂きたい。
A2.肝膿瘍などの感染症がないならば、清潔手術と考えられるので、抗菌薬の予防投与
は原則として必要ないと思います。
創部からの感染に慎重に対処されたいときは、第1世代フェム等点静注あるいは経口で
投与されても良いと思います。
(回答者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com )
Q3.CDCよりHBワクチンが施行されている者は、事故発生時抗体陰性でもHBIG投与の
必要でないとの指針を出していると聞きましたが、その根拠になっている文献がお分かり
であれば、教えて頂きたいのですが。
それは、日本の厚生労働省でも、そのような指針を出しているのでしょうか。
感染防御にはHBs抗体価10mlU/ml以上必要であるとの以前からの基準は無視してよい
のでしょうか。
A3.CDCのサイトを検索しましたが、そのような記載はなく、
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/5011a1.htm
現在でも「ワクチン接種者で抗体産生が無い場合(HBs抗体〈10mlU/mL)は
γグロブリンを投与する」となっています。
(回答者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q4.ツベルクリン反応が陰性です。BCG接種を受けても効果がないということですが、
結核患者からの感染予防策としては、マスク・手洗いでしょうか。
また、BCG接種は意味のないものでしょうか。結核患者(ガフキー9号)と接した後、
2ヵ月後にツベルクリン反応を施行すればよいのでしょうか。
A4.CDCの結核のガイドラインによれば、「BCGは小児の結核性髄膜炎および
粟粒結核に有効な可能性があるが、成人での有効性は確立していない」となって
います。結核の感染対策は、標準予防策+空気予防策(空気感染隔離)ですから
http://www.crimeaclub.com/hica/cdcguideline/ep.htm N95マスクが必要です。
結核患者お濃厚接触の後は、3ヶ月後にツ反をみて、陽転すれば活動性の評価をします。
CDCの結核ガイドラインによれば、「BCGは小児の結核性髄膜炎および粟粒結核
に有効な可能性があるが、成人の有効性は確立していない」となっています。
(回答者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q5.O-157の患者の使用したものは通常の消毒で問題ないのか、
また、使い捨て食器を使用した方がいいのかどうか教えてください。
A5.使用後の食器を次亜塩素酸ナトリウム溶液などの消毒液に浸漬するか、
温水(80℃、1分・71℃、3分)に浸漬して、洗浄するならば、使い捨て食器は
要らないようです。通常の食器洗浄機で対応できるはずです。
APIC Text of Infection Control and Epidemiology ,Volume2,121-5,2000年版
(回答者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q6.手洗いを15秒行う件ですが、他の文献で、水洗い、普通石鹸の場合は、二度洗い
までは洗う前よりも大幅に細菌が増え、三度洗いで、やっと洗う前より細菌の数が少なく
なった。薬用石鹸で洗った場合も、一度洗いでは洗う前より細菌が増え、二度洗うことで、
初めて手が清潔になることがわかった。細菌付着がみられなくなるのは、流水では三度
洗い以上、普通石鹸では三度洗い、薬用石鹸でも二度洗い後という結果。テストの結果
から流水下では30回以上こすらないと手は清潔にならない。普通石鹸を使えば水洗いより
も早くきれいになるが、それでもそれでも20回以上こすり合わせる必要があり、薬用石鹸
でも一度洗いではなかなかきれいにならない、という文献でした。
15秒、二度洗い、三度洗いに関してどうでしょうか?教えて下さい。
A6.CDCの手指衛生のガイドライン(メディカ出版)の「手指衛生用品の効力を評価する方法」
と「手指衛生に用いる製剤の評価」の項に詳細な記載があります。
たとえば、手洗い回数に関しては、1回で1/100、10回で1/1000の減少がないと有効性
とはならない旨の記載があります(27頁)
また、石けん手洗いでは、「15秒間で細菌数は約1/10になり、30秒間で1/100~1/1000
になる。しかし、病原体を除去できなかったという報告や、細菌数が逆に増えたという報告もあ
った」(31頁)と書かれています。
30頁には、「病院職員の平均手洗い時間は15秒なのに、大多数の研究から石けん手洗いは
30秒から1分間を要するとしている」等の記載もあります。
一方、アルコールでは塗布30秒後に約1/1000、1分後に1/10000~1/100000に減少し
たとあります。
上記のような結果から、石けんによる流水手洗いよりもアルコール製剤が推奨されるに至ったと
考えられます。
(回答者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q7.褥瘡等で、皮膚に浸出液がたまっていて、何らかの原因で皮膚が破れ、浸出液が出てくる
可能性があります。この体液には肉眼的な血液混入がない場合には感染の可能性はいかほど
のものなのでしょうか?
血液媒介の病原体のところでいくつか例がありましたが、(羊水・胸水・・・など)上記のような体液
に対してはどうなのでしょうか。また、もしこのような体液が自分の皮膚に掛かってしまった場合、
どのような感染の恐れがあるのでしょうか。
A7.1996年にCDCより発行された「標準予防策」では、創部排膿液は肉眼的に血液が混入し
ていることが見えるかどうかに関わらず、排膿液は、感染源であるとされています。
その他、体液として髄液・精液・羊水・胸水などが含まれています。感染の可能性は、感染の
ルート、曝露量、曝露後の処置、患者の感染性、病原体、などに左右されます。
もしこのような体液が自分の皮膚にかかってしまった場合、上記の要素によって、感染の危険
性がありますが、皮膚に傷口がない場合には、その危険性はないと思ってよいでしょう。
しかし、皮膚に付いた病原体が別の人に間接伝播する可能性はありますので、石鹸などで
十分洗い落とす必要があります。
[参考文献]CDC隔離予防策のためのガイドライン 1996年
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q8.私は理学療法士なのですが、MRSA患者を病棟でROM訓練等する際に、どうしてもベッド
の上にあがる必要があります。その際にガウンを着用していても、ズボン等はガウンからはみ
出しているので患者の身体やベッドに接する事があります。これは、感染を拡大させる要因に
なるのでしょうか。
また、MRSA患者の部屋から退出する際には、靴の裏は消毒剤を掛ける必要があるのでしょうか?
さらに、MRSAが喀痰にある患者さんを搬送する場合、患者に着用させるマスクはどのようなもの
でもいいのでしょうか?(紙マスクなどでも大丈夫ですか?)
A8.CDCの隔離ガイドラインでは、MRSAは標準予防策にプラスして接触感染予防策が必要だと
されています。
接触感染予防策には、「環境に接触する場合にはガウン・手袋を入室時に着用する」と述べられ
ています。
1.ズボン等はガウンからはみ出していて、患者の身体やベッドに接することになります。
ですので、ズボンを覆う事のできる長いガウンを購入する、または、オペ室用のスクラブ用
のズボンを上から着用するなどの方法で、防護具の検討をして下さい。
2.床は、MRSAの感染源とはされていないので、靴の裏の消毒は必要ありません。靴を
拭く行為のほうが、手が靴に接触する可能性を増加させるので危険です。
(靴の裏、床は不潔ということを再認識してください。)
3.MRSA喀痰陽性の患者に対しては、飛沫感染予防対策が必要です。患者は外出時には
サージカルマスクを着用する事、医療従事者は患者から1メートル以内に近づく時にはサージカル
マスクを着用する事が必要です。MRSAについてそれぞれの病院では、少しずつ対策が異なります。
それは、MRSAの感染防止についてのエビデンスが確立していないことが挙げられます。
(一般に、急性期病院ではより厳重な対策が求められ、長期療養型病院では標準予防策を中心
とした対策になります。)
その為、それぞれの病院で、自分達の方針と手順を確立し、それを遵守することが重要となります。
また、現在MRSA検出率がどのぐらいなのかを各職員が確認しておくべきです。院内でのMRSAを
確実に減少する対策は、まず標準予防策です(手洗いを含む)。
MRSA陽性と確定されるまでに、菌が拡散されている場合が多いことはエビデンスで示されています。
Q9.蜂巣炎の診断における抗ストレプトリジンOの抗体価を測定した結果というのはどのようなもの
ですか?陰性、陽性といった反応がでるのでしょうか?それとも数値ででるのでしょうか?
また、その結果がでた時、例えば陰性になった場合、患者の状況は病理学的にどのような症状なの
ですか?
A9.蜂巣炎(蜂窩織炎)とは、細菌感染によって起こる皮膚と皮下組織の感染症です。
原因となる細菌は主にレンサ球菌で、時にブドウ球菌の感染も認めます。
抗ストレプトリジンO価(antistreptolysin-O、ASLO)は、溶連菌の血清学的検査の一つで、溶連菌
が産生するストレプトリジンO(SLO)に対する毒素中和抗体の力価のことであり、溶連菌感染症の
スクリーニング検査として補助診断に用いられます。
これは、赤血球の溶血反応を見るものですが、現在では、赤血球を用いないストレプトリジンO感作、
ラテックスを用いる抗原抗体反応による濁度を自動分析装置で測定する定量法が一般的になっています。
その基準値と高値を呈する疾患を以下に記します。
基準値: 成人160IU/ml以下、小児250IU/ml以下
高値を呈する疾患: A群溶連菌感染症(猩紅熱、丹毒、急性扁桃腺炎、血管性紫斑病など)、
急性糸球体腎炎、リウマチ熱、実際の蜂窩織炎の診療では、ASLO値に頼って蜂窩織炎の診療が
なされることはありません。
特徴的な発赤腫脹の所見、発熱、白血球数、CRP等の炎症所見を参考に抗生剤治療を行います。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q10.ベッドマット(病室)の洗浄の必要性に関して教えてください。
医療評価機構VER.4では、「ベッドマットは定期的に洗浄すること(洗浄の頻度は指定していません)」
とありますが、ベッドマットの洗浄は有効かつ有意義なんでしょうか?
A10.ベッドマットの汚染により、感染が起きたという事例は、過去に数例報告されています。
例えば、熱傷患者がベッドマットの汚染により感染したという事例があります。
ベッドマットの洗浄・消毒については、スポルディングの器具分類から考えると低レベル消毒を必要
としています。
そのため、主に米国では、ベッドマットを防水性(かつ透過性)のマットレスカバーで覆い、
シーツ交換の際にマットレスカバーを低レベル消毒することで、ベッドマットの清潔を保っています。
また、ヨーロッパ、特にドイツでは、マットレス洗浄機を用いて、患者毎に洗浄を行っています。
どちらの手順にしろ「なんとなく汚れたから行う」のではなく、一定の基準を持って、常に患者の
療養環境を清潔に維持することを目的として行っています。
どのような方法が病院のシステムに合っているのかを考え、マットレスの導入、またはベッドマット
洗浄機の導入をご検討するのはいかがでしょうか。ちなみに、日本でもマットレスカバーもベッド
洗浄機も販売されています。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q11.消毒薬など、万能ビンに入れる場合、口切りといって、数ml開封した時捨てている
のですが、その行為は必要でしょうか?
習慣的に行っていたのですが、再開封や新品といった場合など、何ら区別をつけて取り
扱うこととか、必要なのでしょうか。手技に問題があるといった場合を除いて、必要ある・なし
の理由を教えてください。
A11.口切りに関しては、強力なエビデンスはありません。また、この口切りというのは、
日本独特の習慣です。
ボトルの取り扱いに関しては、容器が汚染しないように保管する、開封時間をできるだけ
短くする、使用期限を守るなど、口の部分を汚染させないように取り扱えば、口切りは
必要ありません。
むしろ、万能ビンの取り扱いについてのエビデンスはいくつかあります。
たとえば、消毒薬や綿球をつぎ足ししない、素手で手を入れない、滅菌セッシをしようとする、
24時間に一度はコンテナーを新しいものに交換するなどです。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q12.車椅子の消毒は、週に何回すればいですか?
A12.車椅子は、スポルティングの器具分類で分けると、ノンクリティカルに分類されます。
これは、健常な皮膚とは接触しますが、粘膜には接触しないものが当てはまります。
たとえば、ベッドバンや血圧計のマンシェット、松葉杖、ベッドの柵などが含まれます。
現在、この器具分類は、「消毒剤の選択および使用に関するAPICガイドライン」でも
使用されているものです。
消毒剤の基準としては、低水準消毒または、洗浄、清拭を行います。そのときに使用する
消毒剤としては、以下のものが挙げられています。
・0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液
・0.2%塩化ベンザルコニウム液
・0.2%塩化ベンゼトニウム液・消毒用エタノール
・70パーセントイソプロパノール
などです。
ご質問の「車椅子」の消毒回数ですが、基本的には1日1回消毒薬入り洗剤を用いて
清拭することが望ましいとされています。
[参考文献]
1.Rutala WA:APIC Guideline for selection and use of disinfectants,
1996.Am J Infection Contorol 1996:24:313-342
2.小林寛伊、大久保憲、尾家重治:消毒・滅菌法-基礎と実際、
厚生省保健医療局結核感染症課監修、小林寛伊編集、消毒と滅菌のガイドライン第1版、
へるす出版、東京、1999;8-35
3.Garner JS:Hospital Information Contorol Practices Advisory Committee
CDC.Guideline for isolation precaution in hospitals,Infect Contorl Hosp
Epidemiol 1996;17:53-80
4.向野賢治訳:病院における隔離予防策のためのCDC最新ガイドライン、小林寛伊監訳、
第1版、メディカ出版、東京、1996
5.石塚紀元、小林寛伊、尾家重治:消毒薬.小林寛伊編、感染制御学、第1版.
へるす出版、東京1996;125-126
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail:kenji-kono@gmail.com)
Q13.レッスンの中で、抹消静脈カテーテルの挿入部位は、
足・下腿よりも手・上腕を選択したほうが、感染のリスクが少ないということでしたが、
その根拠を教えて下さい。
A13.抹消静脈カテーテルを挿入する時は、皮膚の常在菌(皮膚菌叢)が少ない部位を
選ぶこと、また汚染n可能性が少ない部位を選ぶのが望ましいとされています。
また、抹消静脈カテーテルを下肢に挿入することは上肢の静脈に挿入するよりも
静脈炎のリスクが高いとされています。
ただし、最近のデータはないようです。上肢の中では、前腕の静脈に挿入したほうが、
肘部や手首に挿入した場合より静脈炎のリスクが低いということが報告されています。
[参考文献]
1.CDCガイドライン1996、血管内留置カテーテル関連感染予防
2.Basmer G,KeithD,TesilkH,Complications following use of indwelling catheters
of inferior vena cava .JAMA 1958:167:1606-1611
3.Crane C.Venous interruption of septic thronbophlebitis.N England J.Med,
1960:262:947-951
4.井上義文、徳永秋子、森澤美穂、他:末梢静脈輸液路における静脈炎発生に影響
する因子についての検討、外科治療2000;82:627-634
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q14.ハウスキーピングを担当していますが、感染対策に効果的な毎朝の病室環境整備
(清掃)方法の標準やお薦めの順があれば教えて下さい。
また、感染防止上、病室の床は、カーペットとハードフロアのどちらが好ましいのでしょうか?
その根拠やその文献も教えていただければ幸いです。
A14.病室環境整備については、床などの普通医療従事者が触れない場所と、ベッド周辺など
の医療従事者や患者が触れる場所に分けて清掃の方法が分かれています。
(1)床など:
・病室の床の清掃は、湿式清掃を行う事が望ましいとされています。具体的には、モップ
を用いますが、通常は消毒薬を用いる必要はありません。
・床清掃の具体的な方法としては、「1モップ2バケツ法」と「オフロケーション方式」などが
あります。「1モップ1バケツ法」はバケツをすすぎ用と清拭用に分け、使用したモップを
すすぎ、その後清拭用に浸してから床を清拭する方法です。また、「オフロケーション方式」
は使用したモップを取り外し、新しいモップを清拭用バケツに浸して清拭していく方法です。
この方法は、清拭バケツに、使用済みのモップを浸漬することがありません。
・使用後のモップは洗浄し、必要に応じて消毒し、乾燥させます。乾燥しなければ、モップ
自体に菌が繁殖しますので、注意してください。洗剤を使用した80℃10分以上の熱湯消毒
が安全であると言われています。
・血液や体液で床が汚染している場合は、物理的に拭き取り(その際は、スタンダードプリ
コーションを実施)、その後、次亜塩素酸ナトリウム液(1パーセント)を用いて清拭します。
・なお、消毒剤の噴霧や散布は、行わないようにします。
(2)ベッド周辺など:
・ベッド枠、ベッドテーブル、ドアノブ、カート、椅子、車椅子、点滴台の支柱などは、
通常は清拭で清掃しますが、接触感染予防の必要がある患者の場合は、1日1回
消毒薬入り洗浄剤で清拭することが、望ましいとされています。
・使用する消毒剤は、0.2%塩化ベンザルコニウム液、0.2%塩化ベンゼトニウム液、
消毒用エタノール、70%イソプロパノールなどです。
・ただし、アルコールは可燃性であることと、床のワックスを侵す事があるので注意
して使用してください。
・血液や体液で床が汚染している場合は、床の場合と同様に、物理的に拭き取り
(その際は、スタンダードプリコーションを実施)、その後次亜塩素酸ナトリウム液(1%)
を用いて清拭します。
(3)カーペットについて:
カーペットは見た目にも暖かみがあり、足音などの騒音を小さくし、また転倒時の
ショックを和らげるなどの効果があります。しかし、埃が溜まりやすく、血液や尿便
などで汚染されたとき、清掃しにくい欠点があります。したがって、人が頻繁に行き
交い汚染がひどくなりやすい区域(ICU、手術室など)や、免疫不全患者が収容され
ている病室などではカーペットを使用すべきではないとされています。
[参考文献]
1.小林寛伊、大久保憲、尾家重治:消毒・滅菌法-基礎と実際.厚生省保険医療局
結核感染症課監修、小林寛伊編集、消毒と滅菌のガイドライン、へるす出版、東京、
1999;8-35.
2.Garner JS,Favero MS,CDC guideline for handwashinng and hospital unvironmenntal
control,1985,Infect Control 1986;7:231-243
3.向野賢治訳:病院における隔離予防策のためのCDC最新ガイドライン、小林寛伊監訳、
メディカ出版,1996
4.石塚紀元、小林寛伊、尾家重治、:消毒薬.小林寛伊、感染制御学、へるす出版
1996;125-156
5.倉辻忠俊ら訳、医療保険施設における環境感染制御のためのCDCガイドライン、
メディカ出版、2004.
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q15.血液培養の採取時に穿刺部位を適切な方法で消毒する方法についてですが、
当病院のICUではポピドンヨードを使用しています。
ある資料にポピドンヨードによる消毒効果があるのは、乾き目の綿球っせ擦るように清拭
しないと、濡れた状態での効果はないとありました。濡れた状態でのポピドンヨードの
消毒になってしまった場合、乾いた滅菌ガーゼで拭き取って乾燥を図っていることが
多いのですが、問題はないのでしょうか?
また、そのように、濡れた状態での消毒になってしまうのであれば、滅菌ガーゼに消毒
用アルコールを含ませて清拭した方が効果的でしょうか?
アルコールの使用種類としては、消毒用アルコールと70パーセントの無水エタノール
の使用との違いはありますか?
アルコールを使用する場合、アルコール綿の問題も最近では言われておりますが、
滅菌ガーゼによるアルコール清拭がいいのか、アルコール綿でも、使用する面を変えて
より清潔と考えられる面の使用であれば、問題はないのでしょうか?
また、血液培養での液体をカルチャーボトルに注入する際に、穿刺した針を交換し、
清潔な針に換えて注入しているのですが、その必要はないのでしょうか?
当病棟では、カルチャーボトル2種類での提出が殆どですので、ボトルごとに注入時に
針を交換しているのですが、いかがでしょうか?
A15.どの消毒剤を使用するにしても接触時間が必要となります。ポピドンヨードに関し
ては、消毒効果の関係で乾燥するまで通常2~3分待つ必要があります。乾いた滅菌
ガーゼで拭き取るのは間違いです。
挿入部が見え難い場合には、ポピドンヨードで消毒後、消毒用エタノールで拭き取ると
良いと思われます。
エタノールは、80パーセント前後の濃度が消毒や殺菌効果があるとされています。
また、無水エタノールを76.9~81.4パーセントに希釈して使用する場合には、消毒用
エタノールと同様の濃度となり、効果は同様ですが、無水エタノールの状態でICUに
おいておかれると希釈せずに使用する恐れがあるので、特にICUでの無水エタノール
の使用を避けることをおすすめします。
注意:無水エタノールの状態では、消毒や殺菌効果がありません。
綿糸が、滅菌ガーゼの方が取れないので良いと北米では言われていますが、無菌テク
ニックにもあるように、綿棒、ガーゼに関わらず1回につき、1個(一枚)の使用とし、使用面
は使えないままで捨てることが必要です。
血液培養ボトルへの血液注入の際には、特に針を交換する必要はありません。
培養ボトルへの注入に関しては、ボトルの販売メーカーに採血方法および注入方法を
ご確認くださいますようお願いいたします。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q16.放射線科に所属しているため、ポータブルの機会を持って病棟に行く機会があります。
その時、技師の感染対策として、どのような対策をとればよろしいでしょうか?
A16.基本的にどのような患者に対しても標準予防策を心掛ける必要があります。
手洗い、必要時の手袋、マスク、ガウン、ゴーグルなどの着用は医療従事者を守るだけで
はなく、患者をも守ることになります。手袋、手洗いを励行し、患者に接触する時には汚染
経路を考慮し、ポータブルの機器を出来る限り汚染しないようにします。
もし、機器が体液や血液などで汚染された場合には、中レベル消毒で汚染を取り除き、
消毒することが必要となります。
特に、感染予防対策として、病棟に行く場合には患者の部屋に入る前に、ナース・ステー
ションで特別に配慮しなければならないことがないか、必ず確認します。感染経路別の
予防策が行われている場合には、その指示に従い隔離予防を行う事が必要となります。
(たとえば、サージカルマスクの着用)。病棟にいく場合には、看護部との協力体制を整え
ておく事は重要になります。
また、放射線検査をされる患者の中には結核の疑いのある方もいますので、感染管理
マニュアルに結核に関する対策も明確にし、技師の方が把握しておく事も重要です。
北米では、放射線部においても部内で感染防止対策の方針・手順を病院のマニュアルを
応用して事前に作成しています。
【参考文献】Mayhall,:Nosocomial Infections Associated With Procedures Performed
in Radiology:999-1006,1996
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q17.MRSAは、接触感染のため隔離が必要ですが、検出される部分に限らず、必ず
ガウンテクニックが必要になるかを教えて下さい。
A17.CDCガイドラインによると、「接触感染の病院感染対策の基本はスタンダードプリ
コーション(標準予防策)であるが、臨床および、疫学的問題がみられる患者に対しては、
接触予防策を適用する」となっています。
基本的に、接触感染を起こす可能性のある患者に接する際には、スタンダードプリコー
ションに加え、接触予防策、あるいはそれに相当するものを使用しますので、接触感染を
起こす可能性のある患者へはガウン(プラスティックエプロン含む)の着用が必要となります。
接触感染は患者との直接接触あるいは患者に使用した物品や環境表面との間接接触
によって成立します。
接触感染対策としては、スタンダードプリコーションに加え、白衣が患者、環境表面・病室
の物品との接触が予期される場合、部屋に入る際にガウンを着用します。また、ガウンを
脱いだら後に他の患者・環境への汚染を防止するために、白衣などが潜在的に汚染された
環境表面や物品に触れないように注意を払い、ガウンを破棄します。
【参考文献】病院における隔離予防策のためのCDCガイドライン、1996
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q18.カテーテル挿入部位の選択において、成人と小児の選択部位
についてありますが、成人にしても、小児にしても、その部位を選択する理由はどのような
理由によるものなのでしょうか?動きにより点滴の漏れを起こしにくい部位ということでしょうか?
A18.末梢カテーテルN挿入部位を下肢よりも上肢を選択する理由として、細菌叢が少ない事、
汚染され難いこと、その他事故によりラインが排除されることを防ぐためです。
小児の場合に、手、足、頭部などにカテーテルを挿入する理由としては、血管の太さ(挿入
可能か否か)や衛生管理面でも成人と異なるので推奨事項が異なっています。
CDCガイドラインでは、以下のように記載されています。
カテーテル挿入部分の皮膚の常在菌叢の菌の密度は、CRBSI(血管内カテーテル関連
血流感染)の大きなリスクファクターとなります。
したがって、専門家は感染リスクを軽減させる為にCVC(中心静脈カテーテル)を頚部や
大腿部ではなく、鎖骨下部分に留置するよう勧告しています。
【参考文献】CDCガイドライン2002、血管内留置カテーテル関連感染予防)
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q19.現在、バルーンカテーテル挿入時の消毒薬として0.02%グルコン酸クロルヘキシジン液
を第一選択として看護手順に掲載しています。しかし、0.02%グルコン酸クロルヘキシジン液は粘膜
に使用禁忌であることから、ポピドンヨード液を使用する部署もあり、検討課題となっています。
統一する目的で塩化ベンザルコニウムの使用を考えております。
他院の状況を含め、適切な消毒薬を提示してください。
A19.「エビデンスに基づいた感染制御、第2集-実践編」(メジカルフレンド社)の尿路感染対策
の中に(63ページ)「カテーテル挿入前の外尿道口の消毒は、外陰部を清潔に保つことができ
れば不要である」とあります。基本的に消毒は必要ないようです。
また、65ページには、「女性の場合、クロルヘキジンガーゼを外尿道口にあてる(カテーテル
にガーゼを巻いて)ことで細菌の定着を遅らせることができる」とあります。
これからすると、必ずしも禁忌ではないようです。ただし、膀胱洗浄の場合は、吸収が大きいと
予想され、禁忌と思われます。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q20.マスクの種類と特徴について教えてください。N-95マスクと外科用マスクN違いについて、
空気感染予防策で、搬送時に患者が着用するマスクは外科用マスクの方が良いのですか?
N-95マスクはフィッティングを必要とする形状をしているのですか。
病院内でクリーンルーム入室時や作業時に使用されているディスポーザブルのマスクは
外科用マスクにあたりますか。
一般の薬局で購入できる洗濯可能なマスクはどの程度代用できますか。
A20.まず、空気感染予防策で搬送時に患者が着用するマスクは外科用マスクの方がよいか
と言う事ですが、結核患者は口から結核菌を飛沫として飛散します。飛沫核ではありません。
したがって、サージカルマスクの着用十分です。
95マスクはフィッティングを必要とするような形状をしているのかということですが、
マスクは(サージカルマスクでも)、顔面との隙間をできるだけ無くすよう、フィッティング
させる必要があります。
病院内でクリーンルーム入室時や作業時に使用されているディスポーザブルのマスクは外科用
マスクにあたるかに関しては、免疫不全者が入室しているときはサージカルマスクでOKですが、
患者が空気感染する疾患に罹患した時は、N95マスクが必要です。
病院の工事現場では、レジオネラ感染防止のためにN95マスクを着用する事もあると思います。
一般の薬局で購入できる洗濯可能なマスクはどの程度代用できるかについてですが、ガーゼマスク
はサージカルマスクの代用はできません。
マスクについては、PPTファイルもご参照ください。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q21.EKC発生時の有効な手指衛生方法についての質問です。
当院では、液体石鹸又はアルコール含有の擦り込み式消毒剤による手指衛生を行っています。
眼科外来では、患者様の数が多いため、ほとんど擦り込み式消毒剤を使用していますが、
一部の文献ではアルコールは効果がないとの報告もあるので・・・。
A21.手洗いの方法:
手洗いは、患者や器具に接触後直ぐに、石鹸流水で10秒以上洗います。消毒剤は必ずしも
必要はありません。絶対にタオルの共用はしないこと。ペーパータオルか、乾燥機を使って
下さい。
推奨される消毒剤は、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%以上)、ヨードホルム。
推奨されないものは、イソプロ、クロルヘキシジン。
アルコールはエタノールならば可。あるいは、温水(75℃、5分以上)です。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q22.EKC発生時の環境整備についての質問です。
頭韻眼科病棟では、EKC患者様退院後、2週間アルコールを用いて、ドアノブや手すりなど
を中心に清掃を行っています。しかし。この方法はコスト面及び業務上の大きな負担と
なっています。
①環境整備の期間:眼科病棟・一般病棟でかえるのか
②アルコールを用いた環境整備の有用性あるいは、アルコールにかわる方法
③文献についても教えて下さい。
A22.患者は発症後2週間は感染症があつ、すなわちウイルスを排出しているといわれています。
しかし、患者退出後に適切に環境消毒したなら、もうウイルスは持ち込まれないわけですから、
それ以上する必要はないと考えます。部署によっても同じです。
参考文献:
1)APIC text of infection Control and Epidemiology
2)吉田製薬、消毒剤テキスト
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q23.中心静脈カテーテルのドレッシング交換時にポピドンヨードで消毒しますが、
ドレッシングの範囲内(ドレッシングフィルムにかかる範囲)はきっちり消毒しなけれ
ばならないでしょうか?もしくは、ドレッシング内に消毒している部分とそうでない部分
があってもいいのでしょうか?
A23.いちばん難しいところです。挿入前はクロルヘキシジンかポピドンヨードで消毒する
ことが必要です。ドレッシング交換後のヨード軟膏などは不要です。
しかし、ドレッシング交換時は消毒すべきという人と消毒の必要なしという人がいます。
カテーテル刺入部の固定がしっかりしていないときは、消毒は必要ではないかと思います。
(監修者:福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail: kenji-kono@gmail.com)
Q24.医療従事者がインフルエンザを発症した場合の就業期間の制限について教えて下さい。
(国立大学協議会のガイドラインでは、ウイルスの排出期間は症状が出現する前から発症後
7日間程度である。とされており、又、学校保健法では解熱後48時間経過し、本人の状態が
よければ登校してもよいとされています)
しかし、発症後1週間休むことができればよいのですが、勤務の都合上難しく、上記の学校
保険法にのっとった形で職員の指導を行っています。
※インフルエンザ罹患した医療従事者の就業制限について文献などもありましたら、お願いします。
A24.CDCの医療従事者ガイドラインでは、ウイルスは発症後7日間排泄されることになっています
が、医療従事者の対策としては、「ハイリスク患者のケアを避ける」「急性症状消失まで」とあり、
7日間就業停止とは書いていません(1)。
最新のガイドラインでは(2)、直接患者接触、とくにハイリスク患者区域では発症後5日間患者ケア
を避けるとなっています。
“Evaluate healthcare personnel with influenza-like illness and perform rapid influenza tests
to confirm the causative agent is influenza ;determine whether they should be removed from
duties that involve diect patient contact ,especially those who work in certain patient-car areas
(e.g.,intensive care units [ICUs],nurseries ,organ-transplant[protective environment ])
units,and long-term care facilities .If excluded,they should not provide patient care for 5 days
after the onset of symptoms”
急性症状(発熱や著名な咳など)が収まった後は、サージ刈るマスクを着用し、手指衛生を導守する
なら、通常患者のケアは5日以内でも可能と思います。
そのように施設内でルール化すればよいと思います。
《参考文献》
1)http://www.cdc.gov/ncidod/hip/guide/infectcont98.htm
2)http://www.cdc.gov/flu/proffesionals/infectiocontrol/healthcarefacilities.htm
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : )
Q25.口腔内の手術時の効果的な消毒はどんなものがありますか?
口腔外科の手術時(抜歯、のう胞摘出等)には、オキシドールを使用し、その後生食洗浄しています。
舌腫瘍の手術のとき、口腔内があまりに汚染していたのでイソジン生食を使用しました。
口腔内は基本的に不潔と考えていいみたいですが、どうなのでしょうか。
A25.口腔内には常在菌が多数存在しますが、CDCのガイドラインによれば、「口腔内の非外科的
処置の時は水道水で洗浄し、外科的処置のときは滅菌水で洗浄する」とあります。
また、「消毒剤による術前リンスによって口腔内の菌数は減少させるのは、血中に侵入する菌を減らす
」とあります。低~中レベルの生体消毒剤を使用するのは創感染防止のために良いことと思われます。
(http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtm1/rr5217a1.htm)
但し、最近「創部が消毒された後は消毒剤は除去したほうが創部の治癒が早い」と言われていますので、
創部を何度も消毒する必要はないと思います。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kenji-kono@gmail.com)
Q26.現在、経管栄養ボトルとチューブ・JMSのイルリガートル(ラインが一体となっている)の2種類
の容器を使用しています。
容器は使用後毎に洗剤で洗浄し、食器乾燥器で乾燥させて再使用しています。
交換頻度は、1回/日です。しかしながら、チューブは、ラインは乾燥が難しいため、使用前は再度、温水
(50~60℃)で洗浄後使用するようにしています。
基本的には、単回使用が理想なのでしょうが、コスト面から考えなかなかできないのが現状です。
経管栄養ボトルとチューブ、イルリガートルの管理交換頻度について教えて下さい。
A26.イルリガートルのメーカー(JMS)は毎日の交換を推奨しています。
回答者の病院では、1~2週間毎の交換です。次亜塩素酸ナトリウムか熱湯消毒で清潔レベルが維持
できれば、毎日交換しなくてもよいと思います。洗浄消毒が困難であれば、交換すべきです。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail :
Q27.痰からMRSAが検出されており、気管切開、人工呼吸器使用中の患者の場合です。
部屋に入るだけの場合、(患者の近くには寄らず、点滴を確認するときのみなど)はマスクをする必要は
あるのでしょうか。
もうひとつは、体位交換するときに、呼吸器には触らない場合など、手袋とビニールエプロンは使用しま
すが、こんなときマスクも必要でしょうか?
A27.部屋に入るだけの場合は、マスクは不要です。体位交換するときも、痰が飛んでくるわけでは
ありませんので、マスクは不要です。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail :
Q28.1)バイオクリーン状態の定義を教えてほしいです。
2)バイオクリーン状態が維持するための、環境整備の方法をおしえてください。
A28.1)バイオクリーンルーム(BCR)の定義 吹出口にHEPAまたは高性能フィルターを用い、層流方式
または乱流方式によって室内空気中の微生物濃度を極小にした室をいう。
一般に層流方式の方が乱流方式に比べ室内の清浄度を高く維持することができるのでBCRでは
層流方式が適用されることが多い。
2)層流方式または乱流方式(HEPAフィルター、換気回数5回/時間以上)によって、室内の浮遊菌
数10CFU以下に維持しなければならない。
(詳しくは、日本病院設備協会「病院空調設備の設計・管理指針」HEAS-02-1998をご参照ください)
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kenji-kono@gmail.com)
Q29.手袋をはずすと手袋の粉がついています。ハンドサニテーションは有効でしょうか?
A29.手袋についているパウダーは、コンスターチなどの有機物(でんぷん、蛋白)です。
これはラテックス抗原を付着させてラテックスアレルギーを引き起こし、問題になっています。
パウダー自体は滅菌処理されていますが、有機物ですので、多量に手に残留しているときは、
一度石けん流水で洗い落した後、手指消毒すべきでしょう。
Q30.小児の接触感染の予防策の継続期間についてですが、年齢によって接触感染予防策の期間
は異なるのでしょうか?
A30.CDC隔離予防策のガイドラインでは、3歳以下は入院期間中、接触予防策を実施する、と
なっています。
http://hica.jp/cdcguideline/2004DraftIsoGuideline.pdf (120ページを参照下さい)
3~14歳までは2週間の接触予防策の実施となっています。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kenji-kono@gmail.com)
Q31.疥癬が出た病棟の看護師は、疥癬患者以外の検温、処置時もプラスチックエプロンをつける
よう言われました。もちろん、疥癬患者や接触感染予防には使用しています。それ以外もつけるべき
ですか?その場合、MRSAの吸引時は別のプラスチックエプロンと替えるのでしょうか。
A31.検温、処置のときにエプロンは不要と考えます。患者の移乗など、患者と直接接触するときに
エプロンを着用すべきです。
腕も接触するならば、腕カバーを追加するか、ガウンを着用すべきでしょう。エプロン、ガウンはプラス
チックでなくてもよいです。
Q32.尿留置カテーテル交換の時期について、2週間ごとに定期的に交換していましたが、カテーテル
頻回な交換は感染につながるということで廃止しました。尿チンサ検査では、感染兆候がないのですが、
肉眼的にはバック内やルート内は汚れています。長期的にカテーテルを留置しなければいけない状況
の場合、どのくらいの期間で交換したらよいのか、教えて下さい。長期に尿留置カテーテルを挿入して
いる患者さんで、バッグが紫になってしまう患者さんがいます。前に一度「バイオレット・・・?」って聞いた
ことがあります。これは何でしょうか?カテーテル抜去が最善と思いますが抜去が不可能なときの、
症状の改善策を教えて下さい。
A32.CDCの尿路カテーテル感染防止のガイドラインでは(1983年)では、
http://www.cdc.gov/ncicod/hip/guide/uritract.htm カテーテルが詰まるときに交換し、定期的には
交換の必要なしとなっています。
“If the catheter becomes obstructed and can be kept open only by frequent irrigation , the
catheter shold be changed if it is likely that the catheter itself is contoributing to the obstruction
(e.g.,formation of concretions).” “Indwelling catheters should not be changed at arbitrary fixed
intervals.”
わたしたちは浮遊物が多くて詰まりそうなときは2週間で、そうでないときは1ヵ月で交換しています。
これは紫バッグ症候群(Purple urinebag syndrome)と呼ばれているもので、慢性便秘症と尿路感染症
の併発が原因だそうです。
http://hospital ise.mie.jp/1/kaze/txt/08-7.html
(市立伊勢総合病院泌尿器科医長 堀内英輔先生)
放置しておいても問題ないと思います。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kkenji-kono@gmail.com)
Q33.生食ロックかへパリンロックに関しては議論の対象とよくなりますが、生食ロックの場合、陽圧
ロックの指示ではありませんか?
日本静脈経腸栄養学会のセミナーでも色々な意見が出されていましたが、原則として陽圧ロックが
確実に出来るならば問題はないでしょうが、経験年数の浅い看護師などもおり、統一するには問題
が生じると思います。
当院でも留置針、留置カテーテル(本来は感染を考えた場合、留置しないにこしたことはないのでしょうが)
を余儀なくされる場合には、看護師などの経験や手技に差があるため、生食ロックでは安全管理に差が
生じるためへパリンロックを導入しておりますが、お考えなどをお教えいただければと思います。
A33.生食ロックかへパリンロックかの問題ですが、へパリンロックの場合は、バイアルの共用をすべき
ではなく、プレフィルドシリンジを使用すべきです。そうなると、価格の問題を解決しなければなりません。
生食ロックの陽圧の手技は難しいものではありませんが、練習は必要です。
両方を実践し、詰まることはなかったか、感染率はどうなのか等データを出して、病院でルール作りを
されてはいかがでしょう。生食ロックで問題がなければ、こちらの方がシンプルで安価だと思います。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kenji-kono@gmail.com)
Q34.内視鏡室感染対策マニュアル作成についてのポイントを教えて下さい。湿性生体物質とは
なんですか?
A34.内視鏡のマニュアルのポイントは、
1)精密部分のブラッシング、酵素製剤(蛋白除去剤)などによる洗浄、ハイレベル消毒剤による消毒
(自動機械を使った)
2)洗浄時、医療者はマスク、エプロンなどのPPEを着用着用しなければならない。
湿性生体物質とは、広い意味で、患者の血液、体液、排泄物、分泌物を指します。
唾液や汗は含まないようです。標準予防策の対象になります。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kenji-kono@gmail.com)
Q35.歯科領域における器械類の消毒・滅菌に関する質問です。
ガイドラインによると歯科領域ではセミクリティカルに分類される器械も、加熱滅菌が推奨されています
が、その理由を教えて下さい。
口腔内の治療処置は外科手術と考えてすべて滅菌しなければならないのでしょうか。
正常粘膜や歯牙のみに触れる器械も滅菌・高水準消毒が必要なのか教えてください。
A35.歯科的処置はすべて観血的処置で、病原体が容易に血中に侵入するおそれがあるからだと
思います。とくにスケーラー、ハンドピースなどの銅製器具による処置は観血的となりますので、
クリティカルと同等の滅菌処理が必要になると考えられます。
Q36.ノロウイルス感染症の患者が入院した場合の予防策について教えてください。新生児のいる、
産科病棟です。
A36.ノロウイルス感染対策のポイントは二つあります。
①接触感染だけでなく、飛沫感染、空気感染予防もしておくことが大切です。吐物や下痢便を取り扱う
ときは、手袋だけでなくサージカルマスクを着用してください。
その際、窓を開放して換気をすると良いと思います。
②アルコールでは死なないので、汚染した箇所は次亜塩素酸ナトリウムで処理をしてください。
職員の就業停止は症状消失後48時間までです。ただし、軽症例も多いので弾力的に運用することを
お勧めします。
(監修者・福岡記念病院 感染制御部長 向野賢治先生 e-mail : kenji-kono@gmail.com)